本作の主人公・お栄は、北斎が「おーい、飯! おーい、筆!」と何かにつけて呼ぶことから「葛飾応為」という画号を授かった。芸術が男性のものとされた江戸時代に、応為は数少ない女性絵師として活躍。短気で気が強く、たばこがやめられない豪快な性格と、北斎も認める美人画の才を持ち、男社会を駆け抜けた1。
物語では、夫との喧嘩の末に離縁し実家へ戻った後、北斎が90歳で亡くなるまで弟子・娘として共に暮らした応為の謎多き人生が描かれる。彼女の残した作品は少ないが、その生き様と絵の才能は伝説的であり、父・北斎からも「自分より優れている」と評された1。
監督・脚本は『日日是好日』『星の子』などで知られる大森立嗣。長澤まさみとは『MOTHER マザー』(2020年)以来2度目のタッグとなる。大森監督は「長澤まさみさんの演じる応為が長屋で佇む姿がいまだに脳裏に焼きついて離れない」と語り、「この映画の長澤まさみは最高かもしれない」と絶賛している1。
応為を演じるにあたり、長澤は独特の筆の持ち方を練習し、役作りに挑んだ。「応為は子供のような大胆さがあり、人の目を気にせず自由に生きる。その姿は現代の女性にも通じるカッコよさがある」と語り、「絵や北斎に対しては人生そのものをかけているようで、勇ましく神々しい。その全てに憧れを抱きながら演じた」と振り返っている1。
ティザービジュアルでは、長澤演じる応為が筆を手に真剣な眼差しを向ける姿が印象的に描かれている。父娘であり師弟でもあった二人の情熱と、男社会を生き抜いた応為の強さ、そして芸術へのひたむきな思いがスクリーンにどう描かれるのか、公開が待ち遠しい1237。
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